グローバル化のメリットは日本にあるのか?必要性と問題点を考える本
本のタイトル通り、現代の時流である「グローバル社会」とは逆の社会を目指そうという内容です。
「脱グローバル論 日本の未来のつくり方 講談社 内田樹、中島岳志、平松邦夫、イケダハヤト、小田嶋隆、高木新平、平川 克美 講談社」
脱グローバル論 日本の未来のつくりかた
本書は7人のパネリストの対話形式の講演会の議事録本です。本書の内容に賛同出来るか出来ないかは別として、「こういう意見・考え方もあるんだな」というのを知るには絶好の本です。
以下は、重要部分の抜き出しです。(グローバル社会とは直接関係のない内容もあります)
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日本も韓国のような格差社会に?
内田樹さん:
競争社会の弊害にくるしむ韓国
学歴主義 格付け 学力の高い人間には多くの報酬を与え競争から脱落した人間には罰を与える。そういう「人参と鞭」戦略が韓国では日本以上に蔓延しているわけなんですけれども。(中略) 一方で 国際競争力のない分野は放置される。 そうやって勝ち組と負け組への階層文化が加速している。それが子供たちの学習意欲や市民的成熟の動機づけをそこなっているんじゃないかと先生たちは心配している。日本と韓国は同じ状況だなと思いました。
いいか悪いかは別として、こういう世の中になってしまった以上仕方がないです。よく、日本の10年後は今のアメリカを見れば分かるといいます。今のアメリカは、日本以上に貧富の差が大きいと言います。貧困な家庭に生まれると、その子ども貧困層から抜け出すのが容易ではないそうです。自然の流れとして、今後日本も格差社会が待ち受けています。
これからは学校に通っていなくても勉強はどこでも出来る時代
イケダハヤトさん:
教育面でもTED: technology entertainment design 様々な分野の人物の講演などをネット動画で無料配信するとか、オンラインの無料教材が増えてお金がかからなくなっている。 グローバルに見れば 無償教育がどんどん広がっているわけです。 僕の子供が小学校に上がる頃には たぶん 塾には行かなくていい。 というか いかせるつもりはないですね。
これは非常に明るい話です。学校でいじめられて引きこもりになろうが、田舎に住んでいて通わせる塾もない子どもであっても、学校の勉強はネットを通じてやることが出来る時代になってきました。
実際、イケダさんは高知の田舎に住んでいて、都会の激しい学習熱のあるところで自分の子どもを育てる予定はないそうです。子どもの学習は、ネット動画で教育させればいいと考えています。
既得権益は守るべきなの??
本書では、パネリストの意見交換の中で、既得権益を守って何が悪いのか?と言った内容が話されています。例えば、公務員や農協の人達だけが得られる既得権益。何が悪いのかと。TTPに加入さず、農協を守るべきだと。という主張です。
これを発言した方は、以前2011年大阪市長選挙で、橋本徹さんと激突した平松邦夫さんです。(結果は、ご存知の通り、橋本さんが当選したのですが)橋本さんは、「既得権益なんかぶっ壊せ。平等な競争社会の中で、自己責任で生きていける社会を作る」って感じの人です。
一方の平松さんは、その真反対の意見を持っている方です。(間違っていたらごめんなさい、本書を読む限り、そう感じました)
ちなみに、個人的には、私は橋本さんの考えに賛成です。
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引きこもりの人の居場所を真剣に考える
中島岳志さん:秋葉原の通り魔殺人事件の犯人について分析するなど、引きこもりの人の心理を分析されています。
特定の人たちばかりの居場所にしないこと 知らない人 が入って来た時に いきなりいっぱい喋りかけすぎるのも良くないですね。 例えば こういう場所を作ると 引きこもり気味の人とかがやってくるんですよ。 でも最初はとりあえず放っておいた方がいいです。 僕はお店をやってくれる人 に「絶対無理に話しかけないようにしてください」といってあるんです。こういう子は初めてカフェ に来るとまず大体店の人から一番遠い席に座ります。 様子を見に行くるんですね。 夜だけを見て何も喋らないで帰ります。 様子だけ見て 何も喋らないで帰ります。 2、3回目もだいたい同じ時敵に来て何も喋らないで帰って行きます。 僕の経験で言うと 4、5回ですね。 帰り際にささいなことを聞いてくるんです。「何時までやっているんですか」とか、ここがチャンスなんです。 相手が主体性を見せて気持ちを開こうとしたときに「6時までだけどどの辺に住んでるの?」というふうにさりげなく返してあげる。 そうすると ここから長い時間話が止まらなくなりますから。
といったように、引きこもりの人をいかに社会の中に溶け込ませていくかということを具体的に提案されております。ひきこもりの人も、本音ではどこかで社会との接点を作りたいと思っています。参考になります。
脱グローバル論 日本の未来のつくりかた
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